マイホームは人生で最も大きな買い物の一つです。
多くの人が「夢のマイホーム」を手に入れると同時に、「資産」としての価値も意識するのではないでしょうか。
従来、家の資産価値は「駅からの距離」や「土地の広さ」といった立地条件で決まるのが常識でした。
しかし、その常識は今、大きく変わろうとしています。
2025年、日本の住宅市場は大きな転換点を迎えます。
すべての新築住宅に高い省エネ性能が義務付けられ、住宅の「燃費」、つまりエネルギー効率が、その価値を大きく左右する時代が到来するのです。
この記事では、なぜ「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」がこれからの時代において資産価値が落ちない、むしろ高く売れる可能性を秘めているのか、その理由を深く掘り下げて解説します。
未来を見据えた家選びが、あなたの暮らしと資産を豊かにする第一歩となるでしょう。
Contents
そもそも「資産価値が落ちない家」とは?
「資産価値が落ちない家」と聞くと、どのような家を思い浮かべるでしょうか。
まずは、従来の価値基準と、これから重要になる新しい価値基準について整理しておきましょう。
従来の価値基準:「立地」と「土地」の重要性
不動産の価値を語る上で、立地の重要性は今も昔も変わりません。
一般的に、以下のような条件を満たす土地は需要が安定しており、価値が下がりにくいとされています。
- 交通の便が良い: 最寄り駅から徒歩10分以内など
- 生活利便性が高い: スーパー、病院、学校などが近い
- 良好な周辺環境: 公園が近い、治安が良いなど
日本の不動産市場では、木造戸建ての建物価値は築20年〜25年でほぼゼロになると評価されてきました。
そのため、最終的に価値が残るのは「土地」であるという考え方が根強く、資産価値を維持するためには、いかに価値の落ちない土地を選ぶかが最重要課題とされてきたのです。
新しい価値基準:「建物性能」が鍵を握る
しかし、この「建物は20年で無価値になる」という前提は、もはや過去のものとなりつつあります。
その背景にあるのが、国が推進する住宅の長寿命化と高性能化の動きです。
特に、以下の2つの性能が、これからの住宅の資産価値を大きく左右する新しい基準となります。
- 省エネルギー性能: 断熱性や気密性を高め、エネルギー効率の良い設備を導入することで、冷暖房などのエネルギー消費を抑える性能。
- 耐震性能: 大地震が発生しても倒壊・崩壊せず、住民の安全を確保できる性能。
これからの時代は、「どこに建っているか」という土地の価値に加え、「どのような性能を持っているか」という建物の価値が、資産性を維持するための両輪となるのです。
その中でも特に注目されているのが、高い省エネルギー性能を持つ「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」なのです。
なぜゼロエネルギー住宅(ZEH)は資産価値が高いのか?5つの理由
ゼロエネルギー住宅(ZEH=ゼッチ)とは、Net Zero Energy Houseの略称です。
「断熱性能の向上」と「高効率な設備の導入」によって消費エネルギーを大幅に削減し、さらに「太陽光発電などによる創エネルギー」を組み合わせることで、年間の一次エネルギー消費量の収支を実質ゼロ以下にすることを目指した住宅を指します。
では、なぜこのZEHが将来的に高く売れる可能性を秘めているのでしょうか。
その理由は、社会や制度の大きな変化の中にあります。
理由1:2025年省エネ基準義務化による「性能の最低ライン」引き上げ
2025年4月から、建築基準法が改正され、原則としてすべての新築住宅に「省エネ基準」への適合が義務化されます。
具体的には、「断熱等性能等級4」および「一次エネルギー消費量等級4」以上を満たすことが必須となります。
これは、これまで任意だった省エネ性能が、法律で定められた「最低ライン」になることを意味します。
この法改正により、中古住宅市場では以下のような現象が起こると予測されます。
- 2025年以前の基準未適合住宅: 「既存不適格」となり、資産価値が大幅に下落するリスクがある。
- ZEH水準の高性能住宅: 法定の最低基準を大きく上回る性能を持つため、相対的に価値が高まる。
つまり、2025年を境に、住宅の省エネ性能が資産価値を測る明確な「ものさし」となるのです。
ZEHは、そのものさしにおいて最高レベルの評価を受けるため、将来的な資産価値が担保されやすいと言えます。
理由2:光熱費を抑え、経済的メリットを生み出す「実利性」
ZEHの最大の魅力は、なんといっても光熱費を大幅に削減できる点です。
高断熱・高気密な設計により、外気の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を少ないエネルギーで維持できます。
ZEHの3要素
- 断熱: 高性能な断熱材や窓を使用し、熱の出入りを最小限に抑える。
- 省エネ: LED照明や高効率給湯器など、エネルギー消費の少ない設備を導入する。
- 創エネ: 太陽光発電システムなどでエネルギーを創り出し、家庭内の消費を賄う。
近年の電気料金高騰は、家計に大きな影響を与えています。
ZEH住宅は、日々の光熱費を抑えるだけでなく、太陽光発電で余った電力を売電することで収入を得ることも可能です。
この「創エネ」を支える太陽光発電システムの普及には、専門的な知見を持つ企業の存在が欠かせません。
例えば、住宅用太陽光発電や蓄電池の販売・施工を手がけるエスコシステムズのような専門企業の取り組みも、ZEHの普及と価値向上に貢献しています。
質の高い施工が住宅の長期的な性能を担保するため、こうした企業の役割はますます重要になるでしょう。
エスコシステムズをはじめとする専門企業の動向にも注目が集まります。
この「住んでいるだけで経済的メリットが生まれる」という事実は、将来の買い手にとって非常に大きなアピールポイントとなり、査定額にもプラスに働くでしょう。
理由3:災害時にも安心な「レジリエンス性能」
日本は地震や台風など、自然災害が多い国です。
災害による大規模な停電が発生した際、生活を維持できるかどうかは死活問題となります。
ZEHは太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、災害による停電時でも電力を確保することが可能です。
照明やスマートフォンの充電はもちろん、冷蔵庫や一部の家電を動かすことができるため、避難生活の質を大きく向上させることができます。
このような災害への強さ、すなわち「レジリエンス性能」は、住宅の付加価値としてますます重要視されるようになっています。
「もしも」の時に家族を守れる家は、買い手にとって大きな安心材料となり、資産価値を高める要因となります。
理由4:国の強力な後押しと普及に向けた目標設定
政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、住宅分野の省エネ化を強力に推進しています。
第6次エネルギー基本計画では、以下の目標が掲げられました。
- 2030年度以降に新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す。
- 2030年には、新築の戸建て住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す。
これらの目標達成に向け、国は補助金制度などでZEHの普及を後押ししています。
2023年度の新築戸建住宅におけるZEH化率は27.6%と着実に増加しており、特に大手ハウスメーカーにおいては70%を超える水準に達しています。
今後、ZEHが「当たり前」の時代になれば、基準を満たさない住宅は中古市場で選ばれにくくなる可能性があります。
国の政策という大きな流れに乗っていることも、ZEHの資産価値を長期的に支える強力な根拠と言えるでしょう。
理由5:住宅性能を客観的に示す「ラベリング制度」の浸透
どれだけ高性能な住宅でも、その価値が買い手に正しく伝わらなければ意味がありません。
そこで重要になるのが、住宅の省エネ性能を客観的に評価し、「見える化」する制度です。
代表的なものに「BELS(ベルス)」があります。
BELSは、一次エネルギー消費量をもとに建物の省エne性能を5段階の星マークで評価・表示する第三者認証制度です。
ZEHの認定を受けた住宅は、BELSで最高ランクに近い評価を得ることができます。
BELS評価の目安(BEI値に基づく)
- ★★★★★(星5つ):BEI≦0.8
- ★★★★(星4つ):0.8<BEI≦0.85
このような公的な評価制度があることで、専門知識がない人でも住宅の性能を一目で理解し、比較検討できます。
将来、家を売却する際に「BELSで星5つです」とアピールできれば、それは強力なセールスポイントとなり、適正な価格での売却につながりやすくなります。
ZEHの資産価値をさらに高めるポイント
ZEHであること自体が大きな強みですが、さらにいくつかの要素を組み合わせることで、その資産価値をより確かなものにできます。
長期優良住宅の認定も取得する
長期優良住宅とは、耐震性、劣化対策、維持管理の容易性など、長期間にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた質の高い住宅のことです。
認定を受けることで、税制上の様々な優遇措置が受けられます。
| 優遇措置の種類 | 一般住宅との比較 |
|---|---|
| 住宅ローン減税 | 控除額が大きくなる |
| 固定資産税 | 減額期間が3年から5年に延長(戸建ての場合) |
| 不動産取得税 | 控除額が大きくなる |
| 登録免許税 | 税率が引き下げられる |
ZEHが「省エネ性能」に特化した基準であるのに対し、長期優良住宅は「耐久性」や「メンテナンス性」も含めた総合的な品質を証明するものです。
この2つの認定を併せて取得することで、「燃費が良く、丈夫で長持ちする家」という最高レベルの評価を得ることができ、資産価値の維持・向上に大きく貢献します。
BELS(ベルス)で性能を「見える化」する
前述の通り、BELSは住宅の省エネ性能を客観的に示すための重要なツールです。
ZEHの補助金申請にはBELSの評価書が必須となるケースが多いため、ZEHを建てる場合は必然的に取得することになりますが、その価値を正しく理解しておくことが重要です。
BELSの評価書は、住宅の「燃費性能証明書」とも言えます。
将来家を売却する際、この証明書を提示することで、買い手に対して性能の高さを具体的に、かつ信頼性をもってアピールできます。
不動産査定においても、客観的な評価基準として考慮されるため、売却価格に良い影響を与えることが期待されます。
メンテナンス履歴を保管する「いえかるて」
「いえかるて(住宅履歴情報)」とは、住宅の設計図書や、点検・修繕などのメンテナンス履歴を電子データで一元的に保管・蓄積する仕組みです。
いつ、どこを、誰が、どのようにメンテナンスしたかの記録が残っている家は、買い手にとって安心感が高く、適正な評価を受けやすくなります。
特に、太陽光発電システムや高効率給湯器(エコキュートなど)といった設備は、定期的なメンテナンスが不可欠です。
これらのメンテナンス履歴をしっかりと残しておくことで、住宅の維持管理が適切に行われてきたことを証明でき、資産価値の維持につながります。
ZEHのメリット・デメリットを理解する
資産価値の面で非常に魅力的なZEHですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。
双方を正しく理解した上で、導入を検討することが大切です。
ZEHのメリット:経済性・快適性・安全性
これまで述べてきた資産価値以外のメリットをまとめると、以下のようになります。
- 経済的メリット:
- 月々の光熱費を大幅に削減できる。
- 太陽光発電の売電収入が期待できる。
- 国や自治体の補助金制度を活用できる。
- 快適・健康メリット:
- 高断熱・高気密により、一年中室温が安定し快適に過ごせる。
- 部屋間の温度差が少なくなり、ヒートショックのリスクを低減できる。
- 安全・安心メリット:
- 蓄電池を導入すれば、災害による停電時にも電気が使える。
ZEHのデメリット:初期コストと設計の制約
一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。
- 建築コストが高くなる:
- 高性能な断熱材や窓、太陽光発電システムなどの導入により、一般的な住宅に比べて初期費用が高くなる傾向があります。 ただし、光熱費の削減や補助金の活用により、長期的に見ればコストを回収できる可能性があります。
- 設計やデザインに制約が出る場合がある:
- 太陽光パネルを効率的に設置するために、屋根の形状や向きが制限されることがあります。
- パネルの重量に耐えられる構造にする必要があります。
- メンテナンスが必要:
- 太陽光発電システムや関連機器は、定期的な点検やメンテナンス、将来的な交換費用が発生します。
【2025年最新】ZEHで活用できる補助金制度
ZEHの建築コストを軽減するため、国は様々な補助金制度を用意しています。
2025年12月現在、主に活用できる国の制度は以下の通りです。
(※公募期間や要件は年度によって変動するため、必ず最新の情報を公式サイトでご確認ください)
戸建住宅ZEH化等支援事業
環境省が主導する、ZEH住宅の新築や購入に対する補助金制度です。
ZEHの性能に応じて、補助額が設定されています。
- ZEH: 55万円/戸
- ZEH+: 90万円/戸
さらに、蓄電システムの導入など、追加の設備に対して補助額が加算される場合があります。
子育てグリーン住宅支援事業
国土交通省が主導する制度で、子育て世帯や若者夫婦世帯による高い省エネ性能を持つ住宅の取得を支援するものです。
ZEH水準の住宅を取得する場合、補助金を受け取ることができます。
これらの制度は予算の上限に達し次第、受付が終了となるため、早めの情報収集と申請準備が重要です。
まとめ:未来を見据えた家選びが、最高の資産形成になる
これからの住宅市場は、「省エネ性能」という新しい価値基準がスタンダードになります。
2025年の省エネ基準義務化は、その大きな転換点です。
ゼロエネルギー住宅(ZEH)は、法律で定められる最低基準をはるかに上回る性能を持ち、光熱費削減という経済的メリット、災害への備えという安全性を兼ね備えています。
これらの価値は、国の政策によって後押しされ、BELSのような客観的な評価制度によって「見える化」されることで、中古住宅市場において強力な競争力を持つことになります。
初期コストはかかりますが、補助金制度を賢く活用し、長期的な視点に立てば、ZEHは日々の暮らしを豊かにするだけでなく、将来にわたって価値を維持・向上できる賢明な「投資」と言えるでしょう。
「資産価値が落ちない家」を選ぶことは、もはや特別なことではありません。未来のスタンダードを先取りすることこそが、最も確実な資産形成へとつながるのです。
最終更新日 2025年12月18日 by emilyk






